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10.22014
セシリア・マクフェーレンによるダンス教授法ワークショップ
先日、セシリアのワークショップを受けてきました。
4時間という結構長い時間でしたが、子供から高齢者、ダンスをやったことがある人もない人も、踊れる踊れない、といった概念ではないところで、踊りというものに関われる流れでとても興味深かったです。
クリエイティビティな時間が多く、バレエで言えば、あるヒントの中からみんなでアイディアを出し合って振りを作って、自由に表現する、創造性を豊かにするクラスです。
プレバレエなどによく使われる手法ですが、いろんなアイディアがあり、楽しい時間を過ごせました。
バレエは先生と生徒が、教える、教えらるといった関係で、振りをコピーする、どちらかというと生徒にとって受動的なものが多くなりがちですが、生徒が自ら考える力を付けるには、クリエイティビティのクラスはとても有効だと改めて感じました。
私が海外のバレエ団で最も痛感したのは、海外のダンサーの想像力の豊かさや表現の幅広さでした。
お芝居いにしても、役者顔負けに毎回アドリブでいろんなことをやってきます。
インプロも、皆半端なく豊富なアイディアと、自由な発想でこなします。
海外のバレエ学校や普通教育には、そういう機会が子供教育の過程に取り込まれ、尊重されているのに対し、日本にはやはり少ないように思えます・・・
現在の日本も、特にコンテンポラリーのダンサーにはとても表現力の高いダンサーも沢山います。
そういうダンサーに共通しているのは、やはり自由な発想や、いかに日常をクリエイティブに生きているかだと感じます。
一方、クリエイティブと大胆に踊ると言うのはある一種の共通点があるような気がします。
若い頃、ある番組で黒沢明監督が『悪魔のように細心に、天使のように大胆に」と仰っていたのを聞いて、私も踊る時にそのことをよく考えます。
細やかな表現が出来るのは素晴らしいことですが、ただそれだけではなんとなく計算高く見えてしまう一面もあります。
海外のバレエスクールの教育課程は綿密に組み立てられ、基盤作りを細やかに作り上げていきますが、いざ踊る時は、結構大胆に踊らせます。
プロになると、たまに見ているほうがひやひやするほど大胆なことを舞台でやってのけたりします。
大胆と細心が上手く組み合わさったときが、一番見るほうも踊るほうもエキサイティングのかなと思います。
私は、ネオクラシッなどでは、もっとエッジで踊れとよく言われました。倒れるか失敗するかのギリギリのところが面白いということです。綺麗に踊っても安全丁寧ではどこか物足りなさが残ります。
プリセツカヤは毎回の気分でいろんな表現をしていたので、同じような舞台は一度としてなかったそうです。そんな大胆で自由な表現力が付くとすてきだな~と思います。
一昔前は神憑り的なダンサーが沢山いて、いろんなとんでも噂話がありますね。
それは、いかに想像力が豊かで精神性が高かったかを象徴するものだと思います。
60~90年代のバレエは現在のような正確がテクニックはなくとも、その自然体の表現力や、
音楽性は今みても目を見張るものがあります。
これからのバレエはどこへ向かっていくのでしょうか。
そう思った時、これからは、技術はどんどん正確に高度になっていく一方で、その人ひとりひとりが持っている素晴らしい個性や、持っている世界を大切に育てるという方向に、戻っていくような気がします。
バレエとコンテンポラリーダンス、スポーツ、そして自由な心といったものがいい意味で融合される時代がやってくるような気がしたワークショップでした。