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ショピニアーナ その2 (動画編)

前回のブログから随分たってしまいましたが・・・

今回はショピニアーナの技術、表現を中心に書いてみます。

まず皆さんと最初に観たい動画は、「ショピニアーナ」が初演されたマリンスキー劇場でその後の1999年に踊られた、本家?!による上演です。

https://www.youtube.com/watch?v=C3YGdP03Uf0

 

マリンスキーバレエ団はロシア、サンクトペテルブルグに拠点を置く、ロシアで一番最高峰のバレエ団だといえるでしょう。(旧キーロフバレエ)
このショピニアーナからもそんなロシアバレエの200年の伝統を守る美しさが垣間見えます。
コールドバレエの美しさには定評あり、また上半身の美しさはこのバレエ団の大きな特徴です。
このバレエ団に付属する、ワガノワバレエ学校が確立したワガノワスタイルは、厳しくも美しい教育法として世界中で指導されています。
ロシアスタイルのシルフィードは重厚感のある重さの中から軽さを出す、そんな印象を受けます。
まるで羽毛がゆっくりと舞い降りてくる、スローモーション動画をみているような、そんな印象を与えてくれます。
上半身は咲き乱れるように、厳格なクラシックスタイルを維持したままに、上半身はモダンバレエのような柔軟な動き、胸骨、肋骨、首の骨が踊りに対してしなるように連動して動きます。
ショピニアーナは前回書いたようにロマンティックバレエ時代の雰囲気を残しつつ、時を経てクラシックバレエの時代からモダンバレエへ移行する時期に作られた作品です。
振付師フォーキンは同時期に活躍した「モダンダンスの祖」と言われるイサドラ ダンカンの影響を強く受けており、フォーキンはクラシックバレエの中に自由な動き、表現を求めました。
ショピニアーナはある意味、一見窮屈にも見えたバレエにおいてモダンダンスのような自由な表現を試みた作品といえるでしょう。
その点において、この作品は物語のあらすじやテクニックよりもムード、空気感を表現した作品です。
この動画のコールドバレエの一人ひとりがシルフィードの香り、質感、空気感をつくり、全体的な調和の素晴らしい作品に仕上がっていますね。
ロシアのバレエ団にはにはスタニスラフスキーシステムという演技指導のシステムがありますが、スタニスラフスキーの指導の一つに「Awareness of Tension」 というものがあります。
自分の緊張に気づくというものですが、ひとは知らず知らずのうちに身体のさまざまな部分を緊張させてしまします。
その緊張に気づいて身体をコントロールすることがとても重要だということです。この作品で最も美しいのはこの上半身の柔らかさだといえますが、緊張と弛緩をうまくコントロールできることがこの作品の最もチャレンジなところだとも言えるでしょう。
最近世界最高得点とたたき出しているフィギュアスケートの羽生弦選手などは、あれだけ緊張する大会で非常に緩んだ身体で緊張と弛緩を神業のようにコントロールしていますね。

ブログを今読んでいるみなさんも、今現在、肩がリラックスしているかちょっと観察してみてください。緊張していたら、時々日常の中で、自分に問いかけてみるといろんな気づきやこの作品へのヒントがあるかもしれません。

この作品の振りを覚えるにあたり、クロワーゼというポジションが多々出てきますがなかなか右足?左足?となりエフアッセと混同しやすいようです。
クロワーゼはクロスされている、エフアッセは開いているという意味、わかってはいるけど・・・でしょうか(笑)

最近テレビでよく見かける、「とにかく明るい安村さん」はクロワーゼのポーズととることにより、「安心してください、履いてますよ」となります。
皆さんも座るポーズのとき、立ってポーズのほとんどは安村さんだと思ってくださいね。
とにかく明るい安村さんを知らない方の為に動画をアップしてあげたい気持ちも山々ですが・・・まぁ、ネット検索してくださいね。

次回はABTのショピニアーナを観てみたいと思います。

 

 

 

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