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Jee先生のバレエ留学体験記3(ワガノワバレエアカデミー)

4、マリンスキー劇場やエルミタージュ劇場での経験

ワガノワバレエアカデミーで留学生は、ロシア語、クラシックバレエ、デュエット、キャラクターダンス、演技、モダンダンスなどを学びます。

その後18時からのリハーサルは、エルミタージュ劇場で行われる公演のためにさまざまな作品を練習します。

初めのうちはみんなでいろいろなヴァリエーション、パドドゥ,群舞などを練習し、自分の演目ではない踊りもみんなで踊って指導を受け、そのおかげでたくさんの作品に触れることができました。

また、毎年年末にマリンスキー劇場で行われる学校公演くるみ割り人形があり、留学生も数名出演のチャンスがあります。
私は1年目は、踊ることはできませんでしたが、2年目は雪のコールドに出演する機会をいただきました。

くるみ割り人形の公演は12月から1月にかけて20公演ほどあります。

舞台の傾斜が、学校よりきつかったのには驚きました(笑)

 

5、試験に向けて

1月になると次第に、どのレッスンも4月に行われる試験に向けての準備に入っていきます。

クラシックはバーレッスンのプリエから順番が決められて、とにかく反復練習が続きます。

センターではだれが右を踊るか左を踊るか、どの役を踊るかなども決められて、先生も生徒も試験に向けて熱を帯びてきます。

順序が決まると説明の時間もなく踊りっぱなしになるので、体力的にも大変になってきます。

そして、ここにきて

『留学生は見てもらえない』

『ロシア人生徒が留学生を歓迎しない』

理由がわかりました。

それは年度末の試験で多くのロシア人生徒が進級できずスクールを去ることになるからでした。

ワガノワバレエアカデミーは国立、つまり国が運営している学校なのでロシア人の学費は免除され、男の子は徴兵制も免除されます。

3000人以上の子供たちが入学試験をうけ入学できるのは60人程度。

そこから毎年の試験で、人数はどんどん少なくなっていきます。

やっとの思いで7年生まで上がってきたのに、私のいた7年生クラスの7人のロシア人のうち3人が落第しました。

そのなかには低学年の時に、学校公演で主役のクララを踊っていた生徒や、有望で成績優秀だった生徒も体重増加など様々な理由で進級できず・・・

ところが、私たち留学生は学費を納めているので試験を受けても落ちることはありませんでした。(現在は違うようで、留学生も残るのは難しいと言われています)

だからロシア人からしてみれば私たち留学生は暢気なものだとうつったのでしょう。

歓迎しないのも無理はないなぁと思いました。

またワガノワの生徒たちはマリンスキーバレエ団に入るために日々がんばっています。

先生たちも生徒をマリンスキーに入れるために懸命に指導します。

しかし当時、外国人はほぼマリンスキーに入れないと言われていたため、留学生を育てる気がない先生方もいたのだと思います。

また留学生やロシア人など関係なく、優秀な生徒だけを見る先生もいました。

私たち留学生のなかにも全く見てもらえない生徒もいましたが、バレエが上手になりたい一心でみんなそれぞれに頑張りました。

とにかくみんな進級するために、そして夢のマリンスキーにはいるために必死でした。

私がいた頃はそんな時代でしたが、今はマリンスキーでも日本人や韓国人などアジア人ダンサーも活躍していますし、留学生に就職サポートしてくれる先生もいらっしゃるそうです!

『留学生は見てくれない』と言われ、不安を抱えてスタートした私のワガノワ留学でしたが、(自分でいうのもおかしいですね)ひとつでも多く先生の教えを吸収し、自分のものにしたい!、上手になりたい!という強い思いで、とにかく一生懸命だった私に先生方は次第に目をかけてくださるようになりました。

留学当初、全く歓迎してくれなかった担任の先生も、8年生の試験ではクラシックもキャラクターも見せ場を作ってくださり、教室の外や食堂で会うたびに『じせん!かかと前よ!』と言ってくれたり(笑)マンツーマンでVa.を見てくださいました。

バレエ団のオーディションのことも気にかけてくれたり、ロシア人生徒と同じように接してくれました。

金銭的な事情で9年生まで行くことはできなかったですが、先生からは『もう一年いなさい』

とも言っていただいたことは本当にうれしく、

そんな先生方との出会いにいまでもとても感謝しています。

正直楽しかったことより大変なことの方が多かったのが事実です。

でも、『上手になりたい』の一心でいろんなことを乗り越えられ、多くのことを学び成長することができました。

そんなこんなで、私にとってこのワガノワバレエアカデミーで過ごせた日々の経験は宝物となりました。

次回は留学を志す生徒さん、何か夢がある生徒さんへ、わたしにできるアドバイスがあればと思い、最後のエピソードへと繋げたいと思います。

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